ゴー宣DOJO

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切通理作
2010.12.30 01:55

電子書籍より必要なものがある

来年19日のゴー宣道場は、小林よしのりさん満を持しての初基調講演。
テーマは「日本に新しい夜明けは来るのか?」
新春明けてすぐ、我々日本人の「希望」につながるお話をしてくださるとのこと。

そこで私は、大きな希望は小林さんにお任せし、今年2010年における自分のチマチマした人生を振り返ってみました。

『せつないかもしれない』第15回・イラストレーターのチムニーさんと2010年を振り返る     http://www.nicovideo.jp/watch/1293417966

そこで浮き彫りになったのは、いまの飽食した日本人の典型例・・・どころかその中でも一番ダメな人にならぬためには、どうしたらいいのかということです。
エネルギーを摂取したい願望と、過食の折り合いをどうつけるのかということです! 

これは僕の実感なのですが、食事はただ栄養を摂取するためのものではなく、身体の機関を動かすためのものではないかと思うのです。
特に僕のような、書斎型のライターで、散歩ぐらいしか運動することのない人間は、深夜の爆食でエネルギーを発散させているのでは、と。
しかしそれは発散であるとともに過剰な蓄積であることは言うまでもありません。

今回ゲストであるチムニーさんによる、初めての単独でまとまった本『チムニーポスター画集』(よるひるプロ刊行)には「青少年のからだの不思議」と副題があります。
加熱されたものは腸にエネルギーがかかる。だから「生」が大切!
そう私は教えられました。

しかしジューシーな焼肉やお菓子の魅力からどうしても離れられない。
添加物はたしかに毒。だけど毒があっても、鮮烈な「色」のパワーに惹きつけられてしまう。
もう食べるしかない!

そこでチムニーさんが提案したのは、電子書籍ならぬ「電子おかし」。
なるほど。これなら深夜に起きてバクバク食ってもなんの問題もなさそうですね。
電子書籍よりも電子おかしの出現を切実に待ちたいものです。

チムニーさんの父はフレンチシェフ。料理もイラストも言葉も、エネルギーの源泉であり創作なのかもしれません。
「心震える嬉しくなる食事しかしないぞ!」という宣言にはシビれます。

チムニーさんはイラストだけでなく、湧きあがるものを文章にもすればダンサーとしても表現します。
靖国神社の見世物小屋でも踊っていたことがあるのです。

「良いものの生まれる速度は速い!」
とチムニーさんのイラストに言葉が付されています。
たしかに、前から意識して準備していたものだけでなく、いまそのとき、意識の深層から蘇ったものを突然キャッチする瞬間があります。
「時間は待ってくれない」
いますぐ手を動かせ、頭を動かせ!
「手が二つでは足りないよう!」 
いますぐ踊れ、そして書け!!
そんな姿勢には羨望を覚えます。

ゴー宣道場でも小林さんはじめ師範の皆さんと参加者の方々のやりとりに、そのような反射神経がキラリと光る瞬間をいくつも目の当たりにしました。

私も来年はさらに精進し、大切な瞬間を逃さない「身体」を作っていきたいと思っています。

・・・なんていかにもカッコイイ締めになってしまいましたが、爆食を防ぐ方法、誰か教えて下さい。

とりあえず来年はホテルの冷蔵庫のような、鍵を掛けられるのを買おうとかなとも思っています。

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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